あの日
私は
ガラス窓を割った
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地元を離れる事が決まっていた
中学を卒業する娘が
最後に父親に会いたいと言った
車で2時間の彼の家を訪れた
久しぶりの親子の再会
私は何度か会っていた
金の無心だったり
セックスを求められたり
もう彼に関わりたくなかった
そんな事を娘は知らない
別れて以来六年ぶりの
再会になるはずだった
すぐそばに車を止めた
お母さんここにいるね
照れ臭そうに娘が笑う
娘と父親の再会を思いながら
タバコに火をつける
何度か煙を吐き出した頃
娘が暗い顔をして帰ってきた
玄関開けてもくれなかった…
名前言ったらそんな人知りませんだって…
車を飛び降りる
古い彼の借り家のドアを叩く
なんだよ
あの人の声
あんたねー
最後に会いたいって娘の気持ちわかんないの?
娘?
そんなの知らないし…
その瞬間何かがきれた
玄関のすぐ横が台所
そこには、あの人の姿が
すりガラスにうつっていた
ガラス窓を両手で叩く
パシーン
それきり振り返りもせず
車に乗り込みハンドルを握る
お母さん血が出てる!
娘の慌てた声で我に変える
両手から血が流れていた
イヤな思いさせてごめんね
娘に詫びる
大人びた娘が笑う
もうあの人は他人
私にとっても他人
もともと養育費も貰ったのは
最初の二ヶ月だけだった
それでも、遠く離れた街まで
私を探してきては
金を貸してやら
保証人になってやら
だらしない男だった
あの瞬間
あの人は
娘を失った
私は今も時々夢をみる
何故娘を一人でいかせたのか
何故会いたいって言われた時
止めなかったのか…
悔やんで夢をみる

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