2014年5月6日火曜日

闇と薬






私が出会ったとき、彼女は60代後半。












年齢の割りに落ち着かない印象












親しくなるうちに、夢見る乙女だなと感じた。













最盛期の自分の美貌に縋り付いて生きているように見えた。















普段は夢見る乙女












時折全く違う顔を見せる











普段から薬に囚われていた











睡眠薬を常用していたが、彼女のプライドが傷付くことや













自分の意見を否定されると自殺未遂をおこす
















睡眠薬をまとめて飲み救急車で運ばれる











身寄りのない彼女の入院費をその度払った












自殺未遂は保険が効かない













胃の洗浄して様子確認の一泊で三万から五万












慣れない頃は心から心配した











一晩中付き添い枕元で泣いた







  


でも彼女は変わらない












そして少しずつ別な顔が現れ始めた













なにも無い壁に向かって何時間でも話している














畳にいる目に見えない何かを一心不乱に潰し続ける













むしがむしがくる













落ち着いた状態の彼女に聞いたところ













40代の頃三年間ほど覚せい剤に漬かっていた














一日中ホテルで覚せい剤を打ち続けてセックスした













そのあと警察に逮捕され実刑














血を吐く思いで覚せい剤から抜け出した












それから20年あまり





 






抜け出したはずのものにまだ支配されていた














汗をかくと独特な匂いがした













薬品となにかが混じった匂い














そして現れるむし














当時どんな気持ちで覚せい剤をしていたのだろうか












すぐやめられる













これくらい












だが彼女の身体にはいつまでもそれはいた













それきりやっていないと言った












自殺未遂の病院でもそれは無いと先生も言った












だとしたら20年













それでも身体に残る痕跡




























それからまた月日は流れいまは彼女との交流はない














あの街を離れた時にもうこんなはなし聞くこともないと思った














でも違う













ごく普通に生活している平和な毎日の











すぐ近くにヤツはいる












弱い人間を狙ってヤツは息を潜める














近づかない勇気











断る勇気











そして抜け出す勇気














いまは楽しくても













何十年も身体を乗っ取られてることを想像して













強い決断をして欲しい
















闇の中にいると孤独感が強い













そこにヤツは付け入る












どうかこのはなしを忘れないで













あなたの未来のために…