2012年5月26日土曜日

可愛げのない子供

一番最初の記憶・・・義母に言われた言葉だ。


三人兄弟の真ん中に生まれた。
実母は弟を生んですぐに他界し、その翌年に父が再婚した。
子供を生んだ事のない義母が新しい母としてその後の私たちを育ててくれた。

都会からきたその人は、山あいの田んぼにいても気高く、美しい人だった。
そして・・激しい人だった。

 一緒に暮らしていても、子供心に義母は二人いるのではないかと疑った。
激しい二面性を持っていたのだ。
いつもはとても優しい義母なのだが何かで怒らせてしまうと泣いても叫んでも叩かれ続け
時には髪の毛を引っ張り部屋中を引きずり回されることもあった。
義母がいなくなってから、自分の髪の毛を手ぐしでとくと指の間に何十本もの髪の毛がはさっまた。
叩いてるうちに手が痛いのかほうきにや掃除機の柄を握り叩かれた。
私の泣き声が静かな集落に響き渡り、数件先に住んでいる祖母が涙を流しながらも
決して義母に見つからないよう庭の植え込みにしゃがみこみ私を見つめていた。

「せっかん」が終わり義母が出かけると、私に駆け寄り抱きしめてくれる祖母の温もり。

でも義母のことが大好きだった。
あんなに優しい美しい人を鬼のように変えてしまうのは、私がダメな子供だから。
私が「可愛げのない子供」だから。
義母の機嫌がいい時は、声をかけてもらいたくて義母の周りを歩き回った。
だが姉や弟のように甘える方法がわからなかった。
義母の顔色を伺いながら、子犬のように彼女の周りを離れない。
ビクビクと自分の顔色をみる少し大きすぎるその子犬はすぐに彼女のご機嫌を損ない
自室に追いやられる。
広すぎる屋敷で、遠くから聞こえる私の兄弟と戯れる愛おしい義母の声に耳を澄ませ
自分を恥じ続けていた。
「可愛げのない」自分がいやだった。
もっと可愛かったら愛されるのに・・

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